「朝、鏡を見たら、なんだか舌がいつもより白い…」
そんな経験はありませんか?

実は、朝起きたときに舌が白っぽく見えるのは、多くの方が経験する比較的よくある現象です。

でも、それが一体何なのか、どうして白くなるのか、気になりますよね。

今回は、その「舌の白さ」の正体と原因、そして正しいケア方法について解説します。

 

舌の白いものの正体は「舌苔(ぜったい)」

舌の表面についている白い苔(こけ)のようなものは、「舌苔(ぜったい)」と呼ばれます。

これは、お口の中の細菌や、剥がれ落ちた粘膜の細胞食べ物のカスなどが舌の表面に付着してできたものです。

なぜ朝、舌が白くなりやすいの?

 

寝ている間は、起きているときと比べて唾液の分泌量がぐっと減ります

唾液には、お口の中の汚れを洗い流す「自浄作用」がありますが、睡眠中はそれが低下します。
そのため、夜間に細菌が繁殖しやすくなり、舌の表面に舌苔が溜まりやすくなるのです。

これが、朝起きたときに舌が白く見える主な理由です。

 

舌苔は、ある程度は正常です

私たちの舌の表面は、味を感じる「味蕾(みらい)」など、細かい凹凸(突起)がたくさんあります。

この凹凸があるため、健康な舌でもある程度はうっすらと白っぽく見えるのが普通です。
舌苔が全く見られない、ツルツルした舌は、かえって舌の突起が萎縮しているなど、何らかの不調のサインである可能性も考えられます。

舌は、ご自身の体調をチェックしやすい「バロメーター」の一つです。普段から色や状態を気にかけてみましょう。

注意!舌が「いつもより」白い場合に考えられる原因

正常な範囲を超えて、舌苔が分厚く付着している、色が濃いなど、「いつもと違うな」と感じる場合は、以下のような原因が関係している可能性があります。

 

お口の中の環境によるもの

体調や生活習慣によるもの

 

舌苔が増える根本的な原因は、お口の中の細菌が増えることや、唾液の分泌量が減って乾燥することが大きく関わっています。

 

正しい舌ケアの方法:やりすぎはNG!

気になる舌苔ですが、ゴシゴシ強くこするのは禁物です。

舌の表面はデリケートで傷つきやすいため、間違ったケアは逆効果になることも。

 

《舌ケアのポイント》

  1. 頻度は1日1回まで:朝の歯磨き時など、タイミングを決めて行いましょう。やりすぎは舌を傷つけます。
  2. 専用の舌ブラシを使う:歯ブラシでも代用できますが、毛先が硬いものは避け、「やわらかめ」を選びましょう。舌苔除去専用の「舌ブラシ」や「舌クリーナー」がおすすめです。
  3. 軽い力で、奥から手前に:舌を軽く前に出し、ブラシを舌の奥の方(見える範囲で大丈夫です)に軽く当て、手前に向かって一方方向に、優しい力で動かします。ゴシゴシ往復させないようにしましょう。
  4. 回数は少なく:1ヶ所につき2〜3回程度で十分です。嘔吐反射が出やすい方は無理しないでください。

歯科医院でのプロフェッショナルケアも大切

セルフケアで舌苔をきれいにしても、お口全体の細菌が多ければ、またすぐに舌苔は付着してしまいます。
定期的に歯科医院でクリーニングを受け、歯垢(プラーク)や歯石を除去し、お口全体の細菌数をコントロールすることが、舌苔の根本的な改善にもつながります。お口の健康は、全身の健康にも影響します。

 

「あれ?」と思ったら早めに相談を

今回は、舌が白くなる原因とケアについてお話ししました。
もし、「普段より明らかに舌が白い」「舌の色がおかしい」「舌がヒリヒリ痛む」「なかなか改善しない」といった症状がある場合は、舌苔だけでなく、他の病気の可能性も考えられます。自己判断せず、早めに歯科医師や医師に相談するようにしましょう。