子どもの歯石を防ぐには
2025.09.30
【仕上げ磨きに自信あり!…は危険信号?】子どもの歯石、本当の原因と予防のコツ
「毎日、嫌がる子どもをなだめながら、必死に仕上げ磨きをしているのに…」
歯科健診で「歯石がついていますね」と指摘され、まるで自分の努力が足りなかったかのように感じ、ショックを受けた経験はありませんか?
ご安心ください。お子さんの歯に歯石がついてしまうのは、決して親御さんの頑張りが不足しているからではありません。
子ども特有のお口の環境や、磨き方のちょっとしたクセが原因であることがほとんどです。
今回は、なぜ子どもの歯にも歯石ができてしまうのか、そして、毎日のケアをワンランクアップさせるための具体的なコツを、親子で楽しく取り組めるように分かりやすく解説します。
「歯石」の正体は?まずは敵を知ることから始めよう
歯石とは、一言でいえば「歯垢(プラーク)が唾液の成分で石灰化し、カチカチに固まったもの」です。
歯垢は、食べかすをエサにして細菌が繁殖した、白くネバネバした塊。
この段階であれば、歯ブラシでしっかりとこすれば取り除くことができます。
しかし、歯垢が歯についたまま約24〜48時間経過すると、唾液に含まれるカルシウムやリンと結びついて石のように硬い「歯石」へと変化し始めるのです。
子どもは大人に比べて新陳代謝が活発で、唾液の分泌も盛んなため、歯垢が歯石に変わるスピードが速い傾向にあると言われています。
要注意!子どものお口の「歯石トライアングル」
特に歯石がたまりやすい、注意すべき3つのスポットがあります。仕上げ磨きの際は、この「歯石トライアングル」を意識してチェックしてみてください。
- 下の前歯の裏側
ここは「舌下腺(ぜっかせん)」という大きな唾液腺の出口があり、常に唾液で潤っています。
そのため、磨き残した歯垢が最も歯石になりやすいナンバーワン危険地帯です。ザラザラしていないか、指でそっと触って確認するのも良いでしょう。
- 上の奥歯のほっぺた側
歯ブラシを入れようとしても、お子さんのぷっくりした頬が邪魔をして、毛先が届きにくい場所です。
本人も親御さんも「磨いたつもり」になりやすいため、意識的に頬を指で少し広げて、鏡で見ながら磨く工夫が必要です。
- 奥歯の溝(みぞ)
奥歯の噛み合わせ面にある複雑な溝は、食べかすや歯垢が詰まりやすいポイントです。
特に生えたての永久歯(6歳臼歯)は溝が深く、一度汚れが入り込むと、なかなか取れずに歯石化してしまいます。
仕上げ磨きをレベルアップさせる「3つの秘訣」
いつもの仕上げ磨きに、ほんの少しの工夫を加えるだけで、歯石の予防効果は格段に上がります。
秘訣①:「見る」ことから始める“ライトアップ点検”
仕上げ磨きは「いきなり磨く」のではなく「まず観察する」ことから始めましょう。
スマートフォンのライトなどを使ってお口の中を照らしてみると、歯垢が白くぼんやりと浮かび上がって見え、磨くべき場所が一目瞭然になります。
「ここに汚れが残っているね」と親子で一緒に確認することで、お子さんの歯みがきへの意識も高まります。
秘訣②:歯ブラシは“ペン持ち”で優しく当てる
ゴシゴシと力を入れて磨いていませんか?
強い力は歯や歯ぐきを傷つけるだけでなく、歯ブラシの毛先が開いてしまい、かえって汚れが落ちにくくなります。
歯ブラシは鉛筆のように軽く持つ「ペン持ち」を基本にしましょう。
そして、毛先を歯の面に直角(奥歯の裏などは45度)に優しく当て、小刻みに振動させるように動かすのが、歯垢を効率よく落とすプロの技です。
秘訣③:“フロス”を味方につけて死角をなくす
歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が絶対に届かない「死角」です。
この隙間に残った歯垢が、歯石や虫歯の大きな原因となります。
少なくとも1日1回、寝る前の仕上げ磨きの際に、デンタルフロス(糸ようじ)を通す習慣をつけましょう。
最初は嫌がるかもしれませんが、持ち手がついた子ども用のフロスなどを使い、「怪獣をやっつけよう!」などと遊び感覚で取り入れるのが長続きのコツです。
最終防衛ラインは「歯科医院でのプロケア」
どんなに毎日丁寧にケアをしていても、残念ながら全ての歯垢を100%取り除くことは困難です。
そして、一度「歯石」になってしまった汚れは、ご家庭の歯ブラシでは絶対に取ることはできません。
無理にカリカリと取ろうとすると、歯のエナメル質を傷つけてしまう危険があります。
だからこそ、
- 家庭での毎日の「予防ケア」(歯垢除去)
- 歯科医院での定期的な「プロケア」(歯石除去)
この2つのケアを両輪で進めることが、お子さんの歯を生涯にわたって守るための最強の戦略なのです。
歯科医院での定期検診は、歯石を取るだけでなく、虫歯の早期発見、正しい磨き方の指導、フッ素塗布による歯質強化など、お子さんのお口の健康を守るための大切な機会です。
「うちの子の磨き方、これで合っているのかな?」
「最近、この部分の汚れが気になる…」
そんな些細な疑問や不安も、ぜひ私たち専門家にご相談ください。親子で楽しく歯の健康を守るお手伝いをさせていただきます。