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訪問診療はじめました

経験豊富な歯科医師・衛生士がご自宅や施設までお伺いします。

歯科医院へ通院することが出来なくてもご自宅や施設で、歯科治療を受けていただけます。

 

◆下記のようなお困りの事はございませんか?

☑ 入れ歯が合わないので調整してほしい

☑ 口の中が痛いので診て欲しい

☑ 口臭を治して欲しい

☑ 誤嚥性肺炎の予防をしたい

 

◆訪問歯科診療の対象となる方

・医療機関への通院が困難な方

・認知症や寝たきりの方

・在宅での療養を希望される方

・慢性呼吸疾患で在宅療養が必要な方

 

訪問診療について、詳しくは当院までお問い合わせください。

 

 

 

【放置は危険】歯が1本ないだけで、お口の健康は崩壊する?

虫歯やケガで歯を失った後、「奥歯だから目立たないし、食事も困らない」と治療を後回しにしていませんか?

しかし、その「たった1本」の隙間が、お口全体の健康を静かに蝕む最初のきっかけになることは、あまり知られていません。

歯が抜けた状態を放置することは、ご自身が想像する以上に多くのリスクをはらんでいます。
今回は、その「とりあえず」の判断が招く深刻な影響について解説します。

 

危険信号①:歯並びと噛み合わせの崩壊

私たちの歯は、隣同士・上下の歯が互いに支え合うことで、美しいアーチと正しい位置を保っています。

しかし、1本でも歯がなくなると、その緻密なバランスは崩れ始めます。

抜けた歯のスペースに、隣の歯が倒れ込んできたり、噛み合う相手を失った上下の歯が伸びてきたりするのです。

この変化は数年かけてゆっくり進むため、ご自身では気づきにくいのが厄介な点です。

そして、いざ治療しようと思った時には、歯が動いてしまったことでスペースが不足し、単純な治療では済まなくなっているケースが少なくありません。

傾いた歯を起こす矯正治療や、伸びた歯を削る処置など、本来なら不要だったはずの複雑な治療が必要となり、結果的に期間も費用もかさんでしまいます。

危険信号②:残された歯への過剰な負担

歯が1本ないだけでも、無意識のうちにその場所を避けて、噛みやすい反対側ばかりで食事をする「片噛み」の癖がつきやすくなります。

これは、本来すべての歯で分散すべき「噛む力」が、特定の歯にだけ集中してしまう状態を意味します。

健康な歯であっても、常に過剰な負担がかかり続ければ、やがて様々なトラブルを引き起こします。

歯がすり減ってしみやすくなる、強い力に耐えきれずひびが入る、最悪の場合は歯が割れてしまう、歯を支える骨にダメージが蓄積しグラグラしてくるなど、次々と問題が連鎖します。

「1本失っただけ」では済まず、健康だった他の歯の寿命まで縮めてしまうことになるのです。

危険信号③:顎の痛みや不調(顎関節症)のリスク

片噛みなどによる噛み合わせのアンバランスは、お口の中だけの問題に留まりません。

その影響は、食べ物を咀嚼する顎の関節(顎関節)にまで及びます。

左右の顎の筋肉や関節に偏った負担がかかり続けると、「口が大きく開けられない」「開け閉めするとカクカク音がする」「顎が痛む」といった症状を特徴とする「顎関節症」を引き起こすリスクが高まります。

さらに、顎周りの不調は、頭痛や肩こりといった全身の不調につながることもあります。

危険信号④:治療の選択肢を狭める「骨吸収」

歯が抜けたまま放置することの、もう一つの深刻な問題が「顎の骨が痩せていく」ことです。

これを専門的には「骨吸収(こつきゅうしゅう)」と呼びます。

私たちが噛む刺激は、歯の根を通じて顎の骨に伝わり、骨の健康を維持する重要な役割を果たしています。

歯が抜けてその刺激がなくなると、骨は役目を終えたと判断し、徐々に痩せて細くなってしまうのです。

この骨吸収が進むと、将来的にインプラント治療を希望しても、土台となる骨の量が足りず、手術ができないという事態を招きます。

骨を増やすための大掛かりな手術(骨造成)が必要になったり、最悪の場合、インプラント治療そのものを諦めざるを得なくなったりするのです。

後悔する前に、まずは歯科医院へ相談を

見てきたように、たった1本の歯の放置は、お口全体の崩壊につながる連鎖の始まりです。

  • 歯並びと噛み合わせの悪化
  • 健康な歯への連鎖的なダメージ
  • 顎関節症などの不調
  • 将来の治療の選択肢を狭める骨吸収

失った歯を補う治療法には、主に「ブリッジ」「入れ歯」「インプラント」の3つの選択肢があります。それぞれにメリット・デメリットがあり、最適な方法は患者様一人ひとりのお口の状態やライフスタイルによって異なります。

最も大切なのは、「とりあえず放置する」という選択をせず、問題が大きくなる前に専門家である歯科医師に相談することです。

早期の対処が、将来の身体的・経済的な負担を大きく減らし、あなたのお口全体の健康を守ることに直結します。

歯を失ってお悩みの方は、決して一人で抱え込まず、まずは歯科医院で「どうすれば良いか」を相談することから始めてみてください。

 

子どもの歯石を防ぐには

【仕上げ磨きに自信あり!…は危険信号?】子どもの歯石、本当の原因と予防のコツ

 

「毎日、嫌がる子どもをなだめながら、必死に仕上げ磨きをしているのに…」
歯科健診で「歯石がついていますね」と指摘され、まるで自分の努力が足りなかったかのように感じ、ショックを受けた経験はありませんか?

ご安心ください。お子さんの歯に歯石がついてしまうのは、決して親御さんの頑張りが不足しているからではありません。

子ども特有のお口の環境や、磨き方のちょっとしたクセが原因であることがほとんどです。

今回は、なぜ子どもの歯にも歯石ができてしまうのか、そして、毎日のケアをワンランクアップさせるための具体的なコツを、親子で楽しく取り組めるように分かりやすく解説します。

 

「歯石」の正体は?まずは敵を知ることから始めよう

歯石とは、一言でいえば「歯垢(プラーク)が唾液の成分で石灰化し、カチカチに固まったもの」です。

歯垢は、食べかすをエサにして細菌が繁殖した、白くネバネバした塊。

この段階であれば、歯ブラシでしっかりとこすれば取り除くことができます。

しかし、歯垢が歯についたまま約24〜48時間経過すると、唾液に含まれるカルシウムやリンと結びついて石のように硬い「歯石」へと変化し始めるのです。

子どもは大人に比べて新陳代謝が活発で、唾液の分泌も盛んなため、歯垢が歯石に変わるスピードが速い傾向にあると言われています。

要注意!子どものお口の「歯石トライアングル」

特に歯石がたまりやすい、注意すべき3つのスポットがあります。仕上げ磨きの際は、この「歯石トライアングル」を意識してチェックしてみてください。

 

 

  1. 下の前歯の裏側
    ここは「舌下腺(ぜっかせん)」という大きな唾液腺の出口があり、常に唾液で潤っています。
    そのため、磨き残した歯垢が最も歯石になりやすいナンバーワン危険地帯です。ザラザラしていないか、指でそっと触って確認するのも良いでしょう。

 

  1. 上の奥歯のほっぺた側
    歯ブラシを入れようとしても、お子さんのぷっくりした頬が邪魔をして、毛先が届きにくい場所です。
    本人も親御さんも「磨いたつもり」になりやすいため、意識的に頬を指で少し広げて、鏡で見ながら磨く工夫が必要です。

 

  1. 奥歯の溝(みぞ)
    奥歯の噛み合わせ面にある複雑な溝は、食べかすや歯垢が詰まりやすいポイントです。
    特に生えたての永久歯(6歳臼歯)は溝が深く、一度汚れが入り込むと、なかなか取れずに歯石化してしまいます。

 

仕上げ磨きをレベルアップさせる「3つの秘訣」

いつもの仕上げ磨きに、ほんの少しの工夫を加えるだけで、歯石の予防効果は格段に上がります。

秘訣①:「見る」ことから始める“ライトアップ点検”
仕上げ磨きは「いきなり磨く」のではなく「まず観察する」ことから始めましょう。

スマートフォンのライトなどを使ってお口の中を照らしてみると、歯垢が白くぼんやりと浮かび上がって見え、磨くべき場所が一目瞭然になります。

「ここに汚れが残っているね」と親子で一緒に確認することで、お子さんの歯みがきへの意識も高まります。

 

秘訣②:歯ブラシは“ペン持ち”で優しく当てる
ゴシゴシと力を入れて磨いていませんか?

強い力は歯や歯ぐきを傷つけるだけでなく、歯ブラシの毛先が開いてしまい、かえって汚れが落ちにくくなります。

歯ブラシは鉛筆のように軽く持つ「ペン持ち」を基本にしましょう。

そして、毛先を歯の面に直角(奥歯の裏などは45度)に優しく当て、小刻みに振動させるように動かすのが、歯垢を効率よく落とすプロの技です。

 

秘訣③:“フロス”を味方につけて死角をなくす
歯と歯の間は、歯ブラシの毛先が絶対に届かない「死角」です。

この隙間に残った歯垢が、歯石や虫歯の大きな原因となります。

少なくとも1日1回、寝る前の仕上げ磨きの際に、デンタルフロス(糸ようじ)を通す習慣をつけましょう。

最初は嫌がるかもしれませんが、持ち手がついた子ども用のフロスなどを使い、「怪獣をやっつけよう!」などと遊び感覚で取り入れるのが長続きのコツです。

 

最終防衛ラインは「歯科医院でのプロケア」

どんなに毎日丁寧にケアをしていても、残念ながら全ての歯垢を100%取り除くことは困難です。

そして、一度「歯石」になってしまった汚れは、ご家庭の歯ブラシでは絶対に取ることはできません。

無理にカリカリと取ろうとすると、歯のエナメル質を傷つけてしまう危険があります。

 

だからこそ、

  • 家庭での毎日の「予防ケア」(歯垢除去)
  • 歯科医院での定期的な「プロケア」(歯石除去)

この2つのケアを両輪で進めることが、お子さんの歯を生涯にわたって守るための最強の戦略なのです。

 

歯科医院での定期検診は、歯石を取るだけでなく、虫歯の早期発見、正しい磨き方の指導、フッ素塗布による歯質強化など、お子さんのお口の健康を守るための大切な機会です。

 

「うちの子の磨き方、これで合っているのかな?」
「最近、この部分の汚れが気になる…」

そんな些細な疑問や不安も、ぜひ私たち専門家にご相談ください。親子で楽しく歯の健康を守るお手伝いをさせていただきます。

 

 

赤ちゃんの指しゃぶり、いつまで見守る?気になる影響と卒業への5つのヒント

赤ちゃんの指しゃぶりは、微笑ましい光景ですが、「いつまで続くの?」「歯並びは大丈夫?」と心配になる保護者の方も多いでしょう。

この記事では、指しゃぶりの意味、成長に伴う変化、そして気になる影響と卒業に向けたヒントを解説します。

 

指しゃぶりは赤ちゃんにとって自然な発達行動

指しゃぶりは、実はお母さんのお腹の中にいる時から見られる自然な行動です。

 

  • 生後2~4ヶ月頃~:無意識の反射
    唇に触れたものを吸う本能的な反射(原始反射)で、無意識に指をしゃぶります。
    これは、おっぱいを吸うために備わった大切な力です。

 

  • 生後5ヶ月頃~:世界を探求する手段
    自分の手を認識し、物を掴んで口に運び、形や味、感触などを学習します。
    指しゃぶりも、自分の体を確認する大切な行動の一つです。
    赤ちゃんにとって口は、世界を探索するための重要な感覚器官なのです。

 

  • 1歳頃~:心の安定を求めるサイン
    遊びの幅が広がり指しゃぶりへの関心は薄れますが、「眠い時」「退屈な時」「寂しい時」など、
    不安な気持ちを落ち着かせるために無意識に指をしゃぶることがあります。
    これは、指しゃぶりが精神安定剤のような役割を果たしているためです。

 

このように、おおむね1歳くらいまでの指しゃぶりは、成長過程における本能的で生理的な行動であり、過度に心配する必要はありません。

 

長引く指しゃぶりの影響とは?

指しゃぶりは成長に必要な行動ですが、ある程度の年齢を過ぎても長期間続くと、お口の健康や歯並びに影響を及ぼす可能性があります。

 

具体的に心配される影響:

  • 歯並びの乱れ: 出っ歯(上顎前突)、開咬(奥歯で噛んでも前歯が噛み合わない)、
    交叉咬合(上下の歯が横にずれて噛み合う)、歯列の横幅が狭くなる狭窄歯列弓など。
  • 顎の発育への影響: 上下の顎の位置関係が不安定になる。
  • お口の癖: 常に口を開けている「お口ポカン」の癖がつきやすい。
  • 発音の問題: 正しい舌の動きが妨げられ、言葉の発音が不明瞭になることがある。
  • その他: 顔つきへの影響や、しゃぶっている指の変形なども考えられます。

 

指しゃぶり、いつ頃から気にかけ始める?

一般的に、3歳頃までの指しゃぶりは、無理にやめさせる必要はなく、温かく見守りましょう。
多くの場合、3歳を過ぎて集団生活が始まると、周りの友達との関わりに興味が移り、自然と指しゃぶりの頻度は減っていきます。

ただし、環境の変化によるストレスなどで指しゃぶりが増える場合は、まずお子さんの不安を取り除き、安心できる環境を整えることが大切です。

 

 

指しゃぶり卒業へ導く5つのヒント

無理強いは逆効果。お子さんの気持ちに寄り添い、優しくサポートする方法を試しましょう。

  1. 優しく根気強く「言い聞かせる」
    なぜ指しゃぶりが良くないのか、お子さんにも分かる言葉で愛情を込めて説明し、自覚を促します。叱るのではなく、理解を求める姿勢が大切です。
    安心できるお気に入りの物で代用するのも良いでしょう。
  2. 「できたね!」で褒めて伸ばす
    指を口に入れなかった時、少しでも我慢できた時にたくさん褒めましょう。
    「ダメ」と制止するより、「できたね!」という前向きな声かけが、お子さんの自主的な行動修正を促します。
  3. 思いっきり「運動」して発散!
    運動はストレス解消に効果的です。公園遊びやスポーツで心も体もリフレッシュさせ、手や口を使う機会を減らし、指しゃぶりを忘れさせてあげましょう。
  4. 「手遊び」で指先を器用に
    折り紙やお絵描きなど手先を使う遊びは、手のコントロール能力を高め、無意識に指を口に持っていくのを防ぐのに役立ちます。

親子で楽しめる手遊びもおすすめです。

  1. 「スキンシップ」で安心感をたっぷり
    指しゃぶりは安心感を求める行動の一つ。抱きしめる、手をつなぐなどスキンシップを増やし、「愛されている」という安心感を与えましょう。
    これが心の安定に繋がり、指しゃぶりの頻度を減らす助けになります。

日常的に一緒に手洗いをするなど、衛生習慣を身につけさせることも大切です。

最後に:焦らず、お子さんのペースで

指しゃぶりはある程度の年齢までは自然な発達の一部です。

しかし、長期間続く場合はお口の健康に影響を与える可能性も否定できません。

ご家庭での温かい見守りとサポート、ストレス管理、そして必要に応じて歯科医師に相談することが、指しゃぶりを上手に卒業し、影響を最小限に抑える鍵となります。

 

当院では、お子さんの指しゃぶりに関するお悩みやご相談も承っております。

不安なこと、気になることがございましたら、どうぞお気軽にご連絡ください。

お子さん一人ひとりの成長に合わせたアドバイスをさせていただきます。